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2012年01月17日
母の器
いつから目にしているだろうか・・・。
棚の隅にいつも鎮座していた白い器。
子どもの頃から、なにげに目にしていた。
・・・この器に花が生けられているのは見た記憶がない。
お花を始めてからは、ますます気になる器。
いつだったか、棚の隅から格上げしていつでも手に取れる場所に移動しておいた。しかし、度々手にするものの、何をどう生けたらいいものかと考えあぐねるだけだった。
今朝、器を決めるとき自然に手が伸びた。
何故か今日は迷いがなかった。
そんな自分も不思議だった。
初めて、母に尋ねてみた。
<あの器って、どうしてたの?>
「私が使っていた。一年に一回だけは、貧しくても花を買っていた。」
<へえ~、そうだったんだ~。>
驚きで、しかし驚きすぎるのも申し訳なくて、妙な間・・・だったかもしれない。母がしきりに生け花を勧めていた理由が分かったような気がした。あとは、何を聞いても知らんふり・・・「覚えてない」(ま、いいか)
お稽古の時間、この器を取り出すと、
「あら、懐かしい。昔は、どの流派もこれを使っていて、お花屋さんには必ず置かれていたのよ。」と先生が教えてくれた。
うまく使いこなせるか心配だったけど、まぁなんとかおさめることができた。
我が家の玄関で花と共に堂々と鎮座している母の器。
<お母さんの器、どう?悪くないでしょ!?>
「うん。磨いたの?黒くなっていたんじゃない?」
<いや、はじめからあの色。もちろん拭いたけど普通に拭いただけだよ>
「ふ~ん、昔はあれだけが山積みしていた。」
野暮な質問はせず、そっとしてよう・・・。
やっと使うことができて、ちょっと満足(笑)。
Posted by caramelcom at 23:00│Comments(0)